セカンドオピニオン 症例01

セカンドオピニオン 症例01

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セカンドオピニオン 症例01

犬の重度アレルギー皮膚炎

犬(ミニチュアシュナウザー)、10歳、オス

症状

幼少時から皮膚の痒みがひどい。夜も寝られないほど。

過去の経過

1歳の頃から皮膚の痒みがひどく、2軒の動物病院で治療。アレルギー検査などの結果からアレルギーとして、免疫抑制剤療法、インターフェロン療法、食事療法など、かなり高額な治療を継続するもあまり改善なし。

当院の診断

重度のアレルギー。細菌感染を合併。

治療経過

これまでアレルギー治療の薬の選択肢としては間違いはないものの、
・感染のコントロールが不十分
・ステロイド剤を使わなすぎている
以上2点に関して問題と判断した。

抗生剤と薬用シャンプーによる細菌感染のコントロールと短期集中でステロイド剤を使用することで、痒みが劇的に改善。現在療法食の使用のみで良好に生活できている。

解説・コメント

人間同様、犬のアレルギー(アトピー)性皮膚炎は非常に多く見られる病気です。
アレルギーは食べ物に対するものであれば治療食の使用で症状は無くなりますが、重度の場合はハウスダストマイトや花粉など環境中のアレルゲンに対するアレルギーを合併しているため、その症状のコントロールがなかなかうまくいきません。

アレルギーの診断には慎重を期す必要があります。そもそもアレルギーではないのに「アレルギー」ということで何年も使う必要の無いステロイド剤を使用してしまっている症例も見かけます。(特にシーズーに多い脂漏性皮膚炎がアレルギー(アトピー)と誤診されているパターンを多く見かけます)
また、仮にアレルギーだとしても、アレルギーの治療をする以上に重要なのは感染に対する治療です。細菌、真菌(カビ)、寄生虫に対する診断を適切に行えば、これらは薬によって完治させることができます。これらを放置したままアレルギーをいくらコントロールしようとしても意味が無い、もしくは状況を悪化させることもあります。

治療を行っていて非常に悩まされることが多い問題として、「ステロイドの使用」があげられます。
ステロイドを使わずにはいられない「ステロイド依存症」・ステロイドに対する過度の不信・不安・拒否感を持ってしまう「ステロイドアレルギー」このどちらも問題です。
ステロイドは適切に使用することで目立った副作用がなく、なおかつアレルギーを上手にコントロールすることを可能にする薬です。ステロイド依存症に関しては事前に正しい情報を獣医師からお伝えすることで防ぐことができる問題です。またステロイドアレルギーに関しては説明すると長くなってしまいますが、『アトピービジネス(商法)』という言葉があることからも分かるように、過度なステロイドの悪いイメージが形成されていることが根底にあるように思います。目的をはっきりとさせ、目的を達成する期間のみ使用することが重要でしょう。
本症例は、細菌に対する治療とステロイドの適切な使用により夜も眠れぬ痒みから解放されました。ステロイドの使用期間は3日以内にできればそれに越したことはありません。しかし、3〜4週間継続してステロイドを使用することで重度のアレルギーで壊れてしまった皮膚が修復される時間を稼ぐことができます。そうしてその後はスキンケアのみで維持できるパターンも多くあります。
皮膚病の診断・治療は時間がかかるものです。安易な診断・治療に走ることなく順序立てて一つずつ問題を解決して行きましょう。

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