整形外科

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整形外科

整形外科は運動器の疾患を扱う診療科です。一般的な内科外科に比べてより専門的な知識、検査、検査機器、手術道具が必要になります。整形外科に必要な各種器具は非常に高額なものが多いため一般的な動物病院では取り扱いが少ないことが多いですが、当院は整形外科診療にも力を入れ、各種専用器具を導入し、また院外の整形外科セミナーにも積極的に参加して知識や技術を導入しています。

こんな症状ありませんか?

  • 痛めた足を地面に着かないようにして歩いている
  • ぶつけたり挟んでしまい、患部が熱を帯びている
  • 痛めた箇所が腫れる など

上記のような症状があればまずは気軽にご相談ください。

骨折について

最近では、骨格の細い犬種の骨折が多くみられます。トイプードルやパピヨン、チワワなどの小型犬種は高い場所からの落下、滑って転倒する、他の犬とのケンカなどで骨折することがあります。特に前肢の骨折が多くみられます

骨折の治療は、骨折部位や折れ方、犬の飼育環境、性格、年齢などによって治療方法を選択する必要があります。
治療期間中は折れた骨が動かないように何らかの固定を行います。
固定方法は、プレートやピンによる手術を行い体の内部で骨を固定する内固定、皮膚の外側からギブスなどで固定する外固定、骨にピンを刺入し皮膚の外側でピンを支える創外固定がありますが、骨折部位や骨折の形状、患者さんの年齢や飼育環境、性格等を考慮し治療法を決定します。

骨折の治療で重要なのは、骨折部位の十分な安定化であり、多くの場合手術による確実な固定が必要となります。人と違いギプス固定だけで治療可能であることは少ないため、安易な判断でギプス固定のみで様子を見てしまわないよう注意が必要です。


Q:骨がくっつく(治る)までにどれくらいかかるの?

骨折は条件によって治るまでの期間にかなり差があります。条件として、

  • 年齢(成長期は非常に速く、その後は歳を取るほど遅い)
  • 骨折した場所(血流豊富な場所は速く、その逆は時間がかかる)
  • 骨の折れ方(単純骨折は速く、粉砕骨折や開放骨折は遅い)
  • 性格(安静が保てないと遅く、最悪くっつかない)
  • 固定方法(ギプス固定などの外固定は速く、手術(内固定)により骨の露出が大きく長時間になるほど遅くなる傾向。ただし不適切な外固定は癒合不全となるため注意)

などです。
それらの条件が組み合わされ、治るまでに、最短で4週間、最長で4〜6ヶ月とかなりの開きがでてきます。
比較的多い小型犬で1〜2歳くらいの一般的な前腕骨折(橈骨尺骨骨折)プレート固定で2〜3ヶ月くらいで通常生活に戻ることができることが多いと思います。

Q:費用はどれくらいかかるの?

骨折の固定法や必要な入院期間によって全く金額が異なります。
あくまで目安ですが、
ギプス固定<髄内ピンやワイヤー固定<通常プレート固定や創外固定<ロッキングプレート固定
の順で金額が大きくなる傾向でしょう。ただしその他にも固定法はありますし、いくつかの固定法を組み合わせる場合もあります。
当院での費用の目安は、ギプス固定であれば数万円ですが、ロッキングプレートを用いるような難易度の高い手術であれば35万円前後必要となります。

骨折の主な症状

大腿骨骨折

この骨折は後足、太もも部位を構成する長骨の骨折で、骨折全体でも比較的起こりやすい部位です。大腿骨骨折は交通事故や高所からの墜落などの強い衝撃が原因で起こります。
特に交通事故の場合は粉砕骨折も起こりやすく、力がかかる大きな部位で、更にギプスなどの外固定の併用が不可能な骨のため、強固で適切な内固定(プレートや髄内ピンなど)が必要となることがほとんどです。

橈尺骨骨折(前腕骨折)

前腕の骨折で、特に小型犬によくみられる症状です。落下や転倒で骨折が起こります。体が小さいほど治るのに時間がかかり、前腕骨は血流が乏しい骨のため、他の骨折に比べても骨がうまくつかないこと(癒合不全)が起こりやすく、早期に適切な治療をする必要があります。完全骨折をしている場合は、ギブスでの治癒は難しく外科手術が必要となります。

骨盤骨折

骨盤骨折の多くは交通事故により起こります。骨盤骨折は1か所だけでなく、通常複数個所で骨折が起こります。背骨との接続部分である仙腸関節の脱臼がある場合は特殊器械であるCアーム(X線透視装置)を用いて手術を行う必要があります。
また、通常は他の骨折に比べて周囲の筋肉の損傷が激しく、痛みも強いです。
血流豊富な場所であるため手術を実施しなくても骨折自体は変形したままで治ってしまいます。ただし変形したままでは必ず将来排便困難で生活ができなくなるため、安易に手術なしで経過を見ることは絶対に避け、適切な判断で手術の実施を検討します。

  • 症例
骨盤骨折

膝蓋骨脱臼

膝蓋骨とは膝にあるお皿状の骨で、この骨が内側や外側にずれる病気です。特にトイプードルやチワワなどの小型犬は、内側に外れる膝蓋骨内方脱臼がよくみられます。
膝蓋骨脱臼は先天的な要因が強い病気と考えられており、成長とともに症状がはっきりしてきます。4~5ヶ月齢から症状が起こることがあり、脱臼によって筋肉の不正や骨の変形が生じて悪化していく傾向があります。
年齢、病気の状態、痛みの状態によって手術を行うか決定します。近年では必要以上に手術を行うことは少なくなってきている傾向がありますが、手術を行うべきパターンで様子を見てしまうと取り返しのつかない状態に悪化することがあるため、適切な診察を受ける必要があります。
手術の方法はいくつかのものが報告されています。当院では最もスタンダードに行われているいくつかの方法を、その症例の膝の状態に合わせて手術中に判断し、選択して実施することで良好な手術後の経過が得られています。


前十字靭帯断裂

十字靭帯は大腿骨と脛骨(すねの骨)をつなぐ靭帯で2本あります。この2本を前十字靭帯、後十字靭帯と呼び膝を安定化させる靭帯です。犬は前十字靭帯の損傷をすることが多く、切れることで膝の安定性が失われ、痛みや違和感により歩行異常がみられます。
診断は歩行検査、触診とレントゲン検査で行いますが、これらの検査で判断が難しい場合はMRI検査や関節鏡が必要になります。
超小型犬を除き、前十字靭帯の治療には外科手術が必要で、手術により膝を安定化させます。正常な膝の機能を取り戻すことで将来的な関節炎を防ぎます。
現在最も良好な治療成績が報告されている手術法はTPLOと呼ばれる方法ですが、難易度の高い特殊な手術のため実施できる病院が限定され費用も高額になります。当院では関節外法(Flo法)を実施しており、TPLOに比べて安価で手術時間も短く、特に小型犬では比較的良好な治療成績が得られます。もちろんTPLOをご希望の方には実施できる施設をご紹介しています。

股関節形成不全

股関節形成不全は成長期における発育不良や、遺伝などが原因でおこります。大型犬に多くみられます。痛みを示すことは少なく、遊んでいるときや散歩中になんとなく不安定な歩き方をしていたり、後ろ足がふらついていたりします。
股関節形成不全をそのままにしおくと、間接軟骨の浪費がおこり、関節炎をおこしやすくなってしまいますので、異常がみられたら早めに動物病院におこしください。

椎間板ヘルニア

背骨の骨と骨の間にはクッションがあり、その部分を椎間板と呼びます。犬の椎間板ヘルニアは、椎間板が異常をおこし椎間板の髄核と呼ばれるものが突然飛び出し脊髄を圧迫するパターンが多く、痛みや麻痺などの症状が起こります。
椎間板ヘルニアはダックスフンドやコーギーの胴長の犬種だけでなく、すべての犬種にみられます。
症状としては、腰を丸めていたり、抱き上げたときに「キャン」と鳴いたり、元気がない、触るのを嫌がる、段差の昇降を避けるなどがサインです。
椎間板ヘルニアが重症だと、後ろ足を引きずる、排尿障害や麻痺がみられることがあります。椎間板ヘルニアの症状がみられた場合は、早めの治療が必要です。
治療は進行度を判断する5段階のグレードに合わせて内科的治療(安静と投薬)と外科手術のどちらをとるかを決定します。病気のグレード、動物の状態を考慮し治療方法を選択いたします。当院では基本的にグレード1〜3は内科治療、グレード4・5はただちに外科治療を選択しています。
外科手術の場合は、脊椎の状態をみるためにCT、MRI検査(検査センター、大学病院を紹介いたします)を行い、病変の部位、病態を確認して手術部位を決定します。