うさぎの去勢避妊
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高周波電気メスMaxiumを全手術で使用しています。
通常の避妊手術では糸を使って血管を縛る(結紮)する必要があり、この手順に非常に時間がかかります。また結紮にはある程度の熟練が必要で、卵巣を取り残してしまう手術の失敗、不完全な結紮による出血事故、他の臓器を巻き込んでしまう事故などのリスクが有り、肥満動物や大型犬などではこのリスクが高まります。
高周波電気メスを用いることで血管の結紮をする必要がないため手術時間と全身麻酔の時間を大幅に短縮できます。また各リスクを低減します。さらに体内に体にとって異物となる結紮の糸を残さないため体に優しい手術が可能です。
避妊・去勢手術の大きな目的は、動物自身の病気を予防し生活の質を向上させ、人間社会の家族の一員として中で長く幸せに暮らすことです。また、望まれない不幸な動物を増やさない目的もあります。
男の子なら、精巣の腫瘍の予防に効果があります。女の子なら子宮・卵巣の病気、乳腺腫瘍などの予防に効果があります。うさぎの乳腺腫瘍はその多くが悪性である乳がんです。また、4〜5歳以上のメスうさぎには子宮の病気が非常に多く発生しますので、その予防は非常に重要です。
オスうさぎのスプレー行動(マーキング)やマウンディング、メスうさぎの縄張り意識による攻撃や偽妊娠は、うさぎにとっても人間にとっても大きなストレスです。手術により動物と家族がより良い関係を築くことが可能になります。
オスメスを区別しないで飼ってしまう不適切な飼育法から繁殖してしまったり、河川敷などに飼いうさぎが不法に遺棄され乱繁殖してしまう話は決して珍しくありません。
うさぎは性成熟が早く、繁殖サイクルも非常に早いため、正しい知識で飼育し、必要であれば去勢避妊手術を施すことが飼育者の責任でしょう。
麻酔に耐えられるようになると考えられる生後6ヶ月以降をお勧めします。メスの避妊手術は脂肪の付きが多くなると手術の難易度が上がるため、生後12ヶ月までに実施することをお勧めします。
犬と猫と同様に早期手術がメスの乳腺腫瘍の予防に繋がると考えられています。また卵巣と子宮を摘出するため、メスうさぎに非常に多い子宮の病気は完全に予防できます。
うさぎの避妊手術は繊細なテクニックが必要なやや難易度の高い手術です。当院では動物の負担をできる限り少なくするための安全性の高い麻酔の選択、術後のトラブルを少なくする高品質な合成吸収縫合糸の使用、痛みを緩和する処置を心がけています。
うさぎの去勢手術は短時間で終わる基本的な手術のひとつですが、危険を伴う全身麻酔をかけることに変わりはないため、安全・安心を第一に確実で厳重な管理のもとで行っています。
一般的に手術後は太りやすくなりますので、ペレットを与える量を減らすこと必要です。ペレットの適切な量は理想体重の1〜2%程度ですが、個体差もありますのでご相談ください。
うさぎの去勢手術の難易度は犬の去勢手術とそれほど変わりませんが、避妊手術は犬猫のそれよりも卵巣周囲の組織が脆くて非常に神経を使うものです。
また、手術後1〜3日ほどはかなり高い確率で食欲不振になります。うさぎでは食欲の低下から致死的な経過をたどるおそれがあるため、手術後は胃腸の動きを促すための内服薬をお出ししています。
当院では避妊去勢手術においても、手術室の衛生管理、よりよい道具の選択、安全な麻酔管理、熟練した手術者による執刀、1日の手術件数の制限などを常に実行し、妥協を許さず行っています。これらの手術に対する考えは、すべての手術に共通です。
草食動物でありストレスに弱いその性質や、犬や猫と比べて麻酔管理が難しいなどの理由から、予想が困難な麻酔による死亡率(麻酔関連偶発死亡率)が1.39%と非常に高いことが知られています。(犬は0.17%、猫で0.24%)
さらに、手術に適した生後6〜12ヶ月の時期を過ぎるとお腹の中や子宮に脂肪が多くついてくるため、手術の難易度が上がり、危険性が増す傾向にあります。
・日帰り
・手術直前までの食事を推奨
・全身麻酔下で開腹による卵巣および子宮の摘出
・日帰り
・手術直前までの食事を推奨
・全身麻酔下での左右精巣摘出
費用が犬猫に比べて高いような気がするのですが?
うさぎの麻酔管理は安定しないため、当院では終始麻酔管理を行う人員を配置しています。また、手術に集中するために他の手術の件数を制限することなどから、質を追求するための金額設定になっています。さらに、当院では高周波血管シーリングシステムをうさぎの去勢・避妊手術に導入しており、劇的な手術時間の短縮を実現しています。脂肪の付きの多い難易度の高いうさぎの避妊手術も比較的安全に行うことができます。手術後はICUにて呼吸と体温管理を実施しています。
手術後のエリザベスカラーを着けたくないのですが
基本的にエリザベスカラーを装着しなくてもよいように縫合しているため、エリザベスカラーはなしで経過を見ます。ただし、やはり傷口をしつこく気にしてしまう場合はエリザベスカラーを装着する必要がでてきます。
性格が変わってしまうのでしょうか?
基本的にそのうさぎが持って生まれた性格が変化することはありませんが、性ホルモンが影響して荒々しい性格に感じていた行動が穏やかになることはよくあります。
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