犬や猫のてんかんの治療
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愛犬や愛猫が突然けいれんを起こしたり、意識を失ったりすると、飼い主さんが驚き、動揺するのは当然のことです。てんかんはペットにもよく見られる神経系の病気の一つです。この症状を正しく理解し、適切に対応できるように、基本的な知識を身につけておくことが大切です。
てんかんは、持続的または繰り返し発作が起こる神経系の疾患です。犬においては最も一般的な発作の原因の一つであり、どの年齢でも発症する可能性があります。
てんかん発作は、脳内の異常な電気信号によって引き起こされ、一時的に正常な脳機能が妨げられます。その結果、全身のけいれんや意識喪失、尿や便の失禁などの症状が現れることがあります。
てんかんの発作はさまざまな形で現れますが、一般的な症状として以下が挙げられます。
⚫︎突然の意識喪失
⚫︎体のけいれんや硬直
⚫︎唾液の過剰分泌
⚫︎尿や便の失禁
多くの場合、発作が始まる前に落ち着きがなくなる、そわ
そわするといった「前駆徴候」が見られます。これは、発作が間もなく起こるサインです。
発作自体は通常2~3分で治まりますが、その後しばらく意識がもうろうとしたり、立ち上がれなくなったりすることがあります。
てんかんの原因は、大きく「構造性てんかん」と「特発性てんかん」の2つに分類されます。
構造性てんかんは、脳に明らかな異常が認められる場合のてんかんです。
主な原因には以下のようなものがあります。
⚫︎脳腫瘍…脳にできた腫瘍が神経を圧迫し、発作を引き起こします。
⚫︎脳の奇形…先天的な脳の構造異常が原因となることがあります。
⚫︎脳炎や脳膜炎…感染症や炎症によって脳がダメージを受け、神経活動が乱れます。
⚫︎外傷…頭部への強い衝撃などが脳の機能に影響を与え、発作を誘発します。
⚫︎中毒や中枢神経系の感染…毒物や有害物質が脳に影響を及ぼし、発作を引き起こすこともあります。
特発性てんかんは、脳に明らかな構造的異常が見られないタイプのてんかんで、多くの場合、遺伝的要因が関係しています。
⚫︎遺伝的要因…特定の犬種や猫種では、遺伝的に発症しやすいとされています。
⚫︎若年齢での発症が多い…特発性てんかんは、比較的若い年齢で発症することが一般的です。
てんかんの診断は、まず詳しい問診と身体検査から始まります。発作時の状況や頻度、持続時間をできるだけ詳しく伝えることが、正確な診断につながります。可能であれば、発作の様子を動画で記録しておくと、診察時の参考になります。
次に、血液検査や神経学的検査を実施し、他の病気や異常の有無を確認します。また、脳の構造異常や腫瘍、脳炎などの原因を特定するために、MRIやCTによる画像検査が必要になることがあります。
当院ではCTやMRIを活用し、脳の詳細な状態を確認しています。これにより、脳に異常がないかを正確に把握し、最適な治療方針を検討することが可能です。
てんかんの治療は、発作の頻度や重症度を抑えることを目的としています。通常、抗てんかん薬が処方され、ペットの状態に合わせて薬の種類や量が調整されます。治療は長期にわたることが多いため、定期的な診察と薬の管理が重要です。
当院では、専門の神経科アドバイザーが在籍しており、ペット一匹一匹に合った最適な治療プランを提供しています。抗てんかん薬の調整だけでなく、生活環境についてのアドバイスも行い、総合的にサポートしています。
てんかんは遺伝的な要因で発症することもあり、完全に予防するのは難しい病気です。そのため、万が一発作が起こった際に落ち着いて対応できるよう、あらかじめ正しい知識を身につけておくことが大切です。
発作が起こったら、ペットが家具や壁にぶつからないよう周囲を片付け、安全なスペースを確保しましょう。また、発作中に無理に触ったり抱き上げたりすると、驚いたペットに噛まれたり、誤って落としてしまう恐れがあるため控
えてください。発作が治まるまで静かに見守り、様子を記録することに集中しましょう。
もし発作が5分以上続く、または短時間で繰り返し発作が起こる場合は、緊急対応が必要です。すぐに動物病院へ連絡してください。
症状:11年前から月に6〜8回てんかん発作を起こしている。
症状:他院でてんかんの治療をしているがうまくいかない。
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