セカンドオピニオン 症例03

セカンドオピニオン 症例03

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セカンドオピニオン 症例03

犬のてんかん

犬(ビーグル)、12歳、去勢オス

症状

11年前から月に6〜8回てんかん発作を起こしている。

過去の経過

1歳の頃から痙攣発作を頻繁に起こし、他院でてんかんと診断を受けた。通院し8〜9種類の飲み薬を長年続けているが発作の発生がコントロールされることはなく、月に何度も発作を起こす状態が10年以上続いている。MRI検査では異常はなかった。

当院の診断

特発性てんかんを疑う

治療経過

今まで使用していた薬は全て見直し、8種類内服していたうち不要と思われる6種類の飲み薬を中止した。新たに2種類を加え、計4種類の飲み薬をスタートした。そのうち、抗てんかん剤としては、ゾニサミド、臭化カリウム、ガバペンチンの3種類を使用し、全く発作を起こさなくなった。その後、タンパク漏出性腸症を発症。ステロイドによる治療もスタートし、安定している。

解説・コメント

てんかんは古くから知られている病気で、その意味は「色々な原因によっててんかん発作を繰り返す脳の病気」とされています。
一般的に見られるてんかんは「特発性てんかん」と呼ばれ、これはMRI検査などで脳に異常が認められず他の原因も見当たらないものを指します。全ての動物で発生し、犬ではとても多く認められ、猫では時々みられます。特発性てんかんの発生が多い犬種も知られており、ビーグルも好発犬種とされています。

通常は5歳くらいまでに発症するため、高齢になってから発作を起こすようになった場合には脳腫瘍や脳炎などの重大な病気の可能性を疑わなければなりません。
(特発性)てんかんの治療は「治す」というものではなく「発作を起こしづらくする」というものですので、軽い発作をごくたまに起こす程度の場合は特に対処はしません。重大な発作を起こす場合や、発作を頻繁に起こす場合は飲み薬をスタートします。
現在、犬と猫で一般的に使用される抗てんかん剤としては、ゾニサミド(犬の第一選択薬)、フェノバルビタール(肝障害などの問題で以前よりは使われなくなってきた。猫の第一選択薬)、臭化カリウム(犬のみ、基本他の薬と併用)、ジアゼパム(猫のみ、今起きている発作を抑える場合は犬でも使用)、レベチラセタム(1日3回投与。注射薬もあり。高価)、ガバペンチン・プレガバリン(効力はそれほど強くないため使用することは少ない)が挙げられます。これらの薬を駆使してもてんかんをコントロールできない動物も存在し、そういった場合を「難治性てんかん」と呼びます。
近年ではヨーロッパで多く使われ始めたイメピトインを使用した報告も少しずつ出始めています。

今回のビーグル犬は10年以上前から多数の薬を飲み続けていたものの発作のコントロールがなされていませんでした。この子は2年前に3時間にも及ぶ激しい発作をおこし、その後は発作のペースが増してしまった上に性格が変わり情緒の変化に乏しくなってしまったそうです。頻繁に繰り返される発作は脳に細かいダメージ与えて益々発作を起こしやすくします。長時間の大きな発作は脳に損傷を起こし、脳障害が残ったり最悪の場合は死に至ります。
当院で処方した抗てんかん剤で、速やかに発作の発生が見られなくなったことから、本来であれば「難治性」ということにはならず、「ややコントロールの難しい特発性てんかん」といえるでしょう。

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