初めて子犬を飼う方へ

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初めて子犬を飼う方へ

新しく子犬を迎えたら

初めて家に来た子犬は、無邪気そうに見えても環境の変化に戸惑いや不安を感じ、ストレスを抱えているものです。家族全員で構いすぎて、睡眠不足とそのストレスで体調を崩す子犬も少なくありません。 だからと言って、ひとりぼっちにしておくとさらに不安になる場合もあるので、人がいる空間に居場所を用意して、寝ていたら邪魔をせず、子犬の方から近寄ってきたら優しくなでて安心させましょう。そんな子犬の気持ちを想像しながら、新しい家での生活に慣れるように温かく接してください。できれば、子犬

が来た数日間は、誰かが家にいられるように仕事や買い物などの出かける用事を調整しておきましょう。

子犬を上手に育てるコツ

ごはん

成長期には充分なご飯をあげましょう。ごはんが満たされると精神的にも満足し、いたずらも減ります。

☑︎食べ終わった後、満足できる量が必要です。
☑︎日に日に成長するので少しずつご飯の量はふやしていきましょう。
☑︎生後4ヵ月ぐらいまでは、一日最低4回はあげましょう。

成長が終わりに近づく、生後5-6ヶ月を越える頃には、食欲も落ち着き、食べる勢いも減ります。この頃にはわがままもでやすいので、おいしいものを無理にあげないでください。

動物病院の診察の流れ

それぞれの月齢の特徴や、主な診察、予防接種などを紹介します。

2~3ヶ月齢(1週間)

子犬にとっては、環境が変わり、緊張などから体調を崩してしまうことが多くなります。
ストレスを感じないように優しく話しかけたり、そっと身体を撫でてあげたりして、緊張をほぐすようにしましょう。
また、この時期は「社会化期」と言われ、子犬の心の成長にとても大切な時期です。
体中を触られることや、家族との生活や家の外に出掛けた時に出会う、たくさんのものや音に慣れることが必要です。
けがなどに注意を払いつつ、様々な経験をさせてあげてください。
キャリーやクレートに入るトレーニングもしておきましょう。
当院では、子犬の「社会化期」に最適な「パピークラス」もありますので、ぜひ、ご活用ください。

初回健康診断

おうちに来て1週間程度が経過し、新しい環境に慣れた頃に受診すると良いでしょう。
一般身体検査、先天性疾患の検査、混合ワクチンの接種、寄生虫予防等の実施が可能です。

3~4ヶ月齢(1ヶ月)

体がぐんぐん成長し、日に日に大きくなっていく時期です。犬では心の成長にも重要な社会化期が終わる時期でもあります。
成長に栄養が必要な時期なので、食事の量や回数に注意し、栄養不足・栄養過多にならないようにしましょう。

1ヶ月後健診

初回の健康診断の後、1ヶ月後の健康診断を受診します。一般身体検査や混合ワクチンの追加接種を実施します。
フィラリア症予防、ノミ・マダニ予防も始めます。

子犬の場合、ワクチン接種などの終了後から、積極的な散歩がスタートできます。
充分な食事と運動で、健康な体作りができる時期です。同時に、トイレのしつけなどもしっかりと身に付けるようにしましょう。

4~5ヶ月齢(2ヶ月)

乳歯が永久歯に生え変わる時期です。必要であれば、ハミガキ練習を実施します。

2ヶ月後健診

一般身体検査の実施に加え、法律で定められた狂犬病予防接種も実施します。
また、性成熟の時期が近づいてきますので、避妊手術・去勢手術に関する相談も始めます。

5~6ヶ月齢(3ヶ月)

体は大きくなり、骨格が安定してくる時期です。この時期は、成長も緩やかになります。
一方で、血液異常や尿路結石症を発症することがあるので注意が必要です。

3ヶ月後健診

一般身体検査の実施に加え、血液検査や尿検査も実施しておくと安心です。
また、猫はこの時期にウイルス検査を実施することで、精度の高い結果を把握することが可能です。

6~7ヶ月齢(4ヶ月)

交配の予定がない場合、避妊手術・去勢手術の適期です。(犬の避妊手術はこの限りではありません。)
様々な病気を予防するためにも、手術を受けることをお勧めします。
避妊手術・去勢手術を受けた後は、必要となるカロリーが減少しますので、食事も見直します。

7~12ヶ月齢

乳歯から永久歯への生え変わりが完了する時期です。
もし、乳歯がしっかりと残ってしまっている場合は、抜歯することをお勧めします。
また、食物アレルギーのある子はアレルギー反応が出る場合があります。
体を痒がる、指先を舐める、というような普段と違う行動が見られる場合は、早目の受診をしましょう。

ワクチン・健康診断

子犬の健康を守り、様々な病気を予防するためには、適切なワクチン接種と定期的な健康診断が必要です。子犬がおうちに来てから、1週間程度が経過し、新しい環境に慣れた頃に受診することをお勧めします。

混合ワクチン

主にウイルスによる伝染病を予防するために混合ワクチンを接種します。
初めて接種する時は2~3回、その後は毎年1回の追加接種を実施します。
子犬は、普通の生活環境であれば基本の6種混合ワクチン接種を、他の飼育動物や野生動物との接触・交流機会が多い環境の場合は7種以上の混合ワクチン接種をお勧めします。
また、ワクチン接種後は安静を保ち、体調の変化が見られた場合に対応するためにも、午前中の接種をお勧めします。

健康診断

子犬の病気を早期に発見するためには、普段の様子、健康な時の状態を把握することが重要です。
そのためにも、視診、聴診、触診といった基本的な診察から、検便、体重・体温測定、血液検査による検査データの記録などを、定期的に実施する必要があります。
子犬が動物病院や獣医師に慣れるためにも、ぜひ元気な時の子犬をお連れいただいて、定期的な健康診断を受けられることをお勧めします。

予防接種について(狂犬病、混合ワクチン)

子犬は、母親からの移行抗体がある生後60日齢を過ぎる頃から伝染病などの様々な感染症にかかる危険性が高くなります。
発症すると致死率が100%と言われる狂犬病や、伝染力が強力で特効薬が無いパルボウイルス感染症などに感染しないためにも、適切で有効な予防接種を受ける必要があります。大切な家族となった子犬を恐ろしい感染症から守るためにも、きちんと予防接種を受けましょう。

狂犬病接種

狂犬病は、感染して発症すると治療することができませんが、予防接種によって発症を予防することが可能です。
日本では法律によって、3ヶ月齢以上の犬は年1回の狂犬病予防接種を受けて国に登録することが義務付けられています。これによって、愛犬を狂犬病から守ることはもちろん、ご家族やご近所にお住いの方、他の動物への感染防止にもなります。
子犬の場合、すべての混合ワクチンの接種終了後、4週間経過してからの接種が目安となります。
予防接種後に交付される「注射済票」は、首輪などに付けるようにしましょう。

混合ワクチン

混合ワクチンとは、感染すると重症化しやすい複数のウイルスや細菌に対するワクチンを1本にまとめたものです。ワクチンを接種することで免疫力を高め、感染や発症を防いだり、発症しても重症化を防いだりすることが可能となります。
子犬には、基本となる6種混合ワクチンと、これにレプトスピラ感染症の3つのタイプを加えた9種混合ワクチンがあります。

フィラリア予防(5月~12月)

フィラリア症とは、蚊が媒介する寄生虫が心臓に寄生することで咳や嘔吐、食欲不振、呼吸困難などを発症し、場合によっては死亡することもあります。
まず、血液検査によってフィラリアの感染の有無を調べます。その後、5月から12月の間、毎月1回予防薬を投与します。予防薬の投与期間は、蚊が出始める時期から蚊がいなくなって1ヶ月後までとなっているので、時期によって異なります。
フィラリア症は、投薬によって100%予防できる病気ですし、現在では子犬に合わせて「飲み薬」「滴下」「注射」といった投与方法が選べます。

ノミ・ダニ予防(3月~11月)

ノミやマダニは、子犬の皮膚に寄生し、吸血する際に伝染病を媒介する可能性があります。
痒みや痛みはもちろん、皮膚炎やアレルギーの発症、条虫の感染やバベシア症などの重症疾患の発症など、多くの問題があります。人間にも感染し高い致死率が知られている重症熱性血小板減少症(SFTS)という伝染病を媒介するので、注意が必要です。
ノミ・マダニの予防・駆虫の薬には、食べるタイプと滴下タイプがあります。

去勢手術・避妊手術

去勢手術(生後5~7ヶ月位)のメリット

・問題行動を予防・軽減(マーキング、攻撃行動、吠え、放浪癖など)
・ストレスの軽減
・男性ホルモン疾患の予防(精巣腫瘍、前立腺疾患、会陰ヘルニア、肛門周囲腺腫)

避妊手術(初回発情出血後)のメリット

・乳腺腫瘍の発症確率の低下
・ストレスの軽減
・女性ホルモンに関係した病気の予防
・卵巣、子宮の病気 → 100%予防

不妊手術後は代謝率が下がり太りやすくなる子が多いので、その場合にはしっかり食事管理をしてあげましょう。

子犬の症状

下痢

子犬の排便は、人間と同じように健康状態の変化がよく分かります。
下痢が見られる場合、その原因は食あたりや消化不良といったケースから、消化器に病気がある可能性、寄生虫感染やウイルス感染などが考えられます。
子犬は、体力や免疫力があまり強くないため、状態が急変する危険性もあります。
見た目は元気そうでも、下痢の症状が続くようであれば、早目にご来院ください。

嘔吐

胃腸などの消化器官が未発達な子犬が嘔吐するのは、決して珍しいことではありません。
しかし、嘔吐が続いたり、食欲や元気が無かったりする場合は、何かの病気のサインかもしれませんので、注意が必要です。
嘔吐の原因として考えられるのは、胃酸過多や消化不良、食物アレルギー、消化器系の病気、寄生虫感染やウイルス感染、食べ物や植物、化学物質による中毒などが考えられます。何度も嘔吐を繰り返したり、下痢を併発したりしている場合は、重大な病気の危険性があります。
子犬は体力もなく、脱水症状を引き起こしやすいので、できるだけ早く動物病院に行きましょう。

異物誤飲・誤食

好奇心が旺盛で、いろいろなもので遊ぼうとするのが子犬です。
遊びの中で、うっかり異物を誤飲・誤食してしまうことがあります。
うまく吐き出すことができれば良いのですが、吐き出せない場合はおなかの中を傷つけたり、胃や腸で詰まって閉塞を引き起こしたり、命に関わる危険性があるので、注意が必要です。
もし、異物の誤飲・誤食が分かったら、すぐに動物病院で受診して、処置を受けるようにしてください。

感染症

子犬を感染症から守るためには、ワクチンの接種が有効です。
もし、感染症を発症した場合は、発熱、激しい嘔吐や下痢といった症状が現れます。

骨折脱臼

子犬は骨格が完成されていないため、骨折や脱臼を起こしやすい時期でもあります。
膝や椅子から硬い床に飛び降りたり、フローリングの床で滑ってしまったりして骨折することもあります。
骨折や脱臼を起こしているかどうかの見極めは、患部の腫れ、足をかばうように歩く、足を触ると嫌がる、動かない、食欲がない、といった状態から分かります。
いずれにしても、激しく落下や激突をした場合は、必ず動物病院を受診することをお勧めします。

低血糖

子犬が離乳できていない時期では、長時間母乳を飲んでいないと低血糖症を起こしてしまうことがあります。
離乳していても空腹時間が長く続いた場合、肝臓の機能が完全に出来上がっていないため血液中の糖分を補う働きができず、低血糖症になる危険性があります。
低血糖症になると、意識を失ったり痙攣を起こしたりして、最悪の場合は死に至ることもあるため、注意が必要です。
子犬の場合、一日の食事は少なくても3~4回はあげるようにしましょう。

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