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老犬にも大切なお散歩

2020年04月10日

犬は、寒さに強いのが特徴です。
日頃から元気に走り回っているワンちゃんは、季節に関係なくいつでも散歩を楽しみしているのではないでしょうか。
しかし、移動で温度の高低差が激しくなると、たとえ元気で若い犬でも呼吸器官や血圧に悪影響を及ぼす危険性があります。中でも老犬や持病のある犬は、体温調節がしにくいため、ヒートショックを起こして脳卒中や心筋梗塞になるかもしれません。考えただけでも恐ろしい話ですよね。
ただ高齢だからといって散歩を控えると、筋力の低下につながります。
適度に外を歩くことで外的刺激を受け、脳を活性化したり筋力を上げたりといったことが可能になるでしょう。
 
本記事では老犬や持病のある犬が、これからの時期も安心して散歩するためのコツを紹介します。飼い主さんは、ぜひ参考にしてください。
ただし今回紹介するのは、あくまで「無理のない範囲で体を動かした方がよい」と診断されている犬に対しての内容です。病気や老化の具合で状況が異なりますし、かかりつけ医に運動を禁じられている場合は控えるようにしてください。飼い主さんご自身での判断が難しい場合は、かかりつけ医に相談しましょう。
 

外が寒いとどのような悪影響がある?

犬の平熱は、なんと38度台。毛があるとはいえ、人間よりも高いのは驚きではないでしょうか?
平熱よりも体温が低くなると、38度台に戻そうとして体温調節機能が働きます。
ただ老犬や病気のワンちゃんは、このような機能が低下しているケースが多いです。急激な温度変化によるダメージで「ヒートショック」を起こす可能性が高いので、注意が必要です。
 
ちなみに私たち人間にも起こり得る現象で、入浴時の死亡事故による毎年1万人以上の死亡者の多くが、ヒートショックで亡くなっているとされています。そう思うと侮れませんよね。
というのも冬は、温かいリビングから寒い浴室に移動します。その際に体温を維持しようと血管が収縮し、血圧が上がるのです。そして、そのままお湯に浸かると、血管が広がって血圧が急降下します。こういった一連の変化が心臓に大きな負担をかけ、脳卒中や心筋梗塞を引き起こしてしまうのです。
犬が発症する場合も、基本的に同じプロセスです。移動などで、急激な温度変化をさせないことが重要です。
 

老犬と冬に散歩するときのポイント

室内から屋外へ出た際に、温度変化が少しでも和らぐような工夫を凝らしましょう。
気を付けてほしいポイントを、4つ紹介します。
 

1. 外へ急に連れ出さない

寒空の下に突然連れていかれると、犬は体温を維持しようと必死に反応します。すると血圧が急上昇し、弱った心臓に大きな負担をかけてしまいます。
こういった状況を防止するためには、急に屋外へ出ないことがポイントです。まずはリビングから廊下へ、そして玄関へ行って屋外へと、寒さに少しずつ体を順応させるような工夫しましょう。
 

2. 準備運動を行なう

人間も、寒さに体を順応させるためには準備体操がピッタリですよね。それと同じ要領で、廊下や玄関へいる間に、犬にも準備運動をさせてあげましょう。「おすわり」「たて」「ふせ」などを何度か繰り返していると、寒さにも慣らしつつ体を動かして温められます。関節をほぐすこともでき、一石二鳥ではないでしょうか。
 

3. 時間帯やコースを工夫する

極力暖かい時間帯に、日当たりがよい道を歩きましょう。時間は「長ければ長いほどよい」というわけでもないので、犬の様子を見ながら歩いてあげてください。「短時間の散歩を複数回」というのもよいと思います。
犬に無理をさせないことを第一に、飼い主さん自身の都合も考慮しながら行なってください。
 

4. 防寒着の着用

たとえ健康な犬でも、毛の長さによっては散歩中に防寒着を着させることがあります。老犬や病気のワンちゃんに関しては、毛の長さに関係なく防寒着を着せてあげましょう。外に出たとき、寒さで震えているような日には特に欠かせないと思います。
ただ着用の目的は、あくまで寒暖差を緩和させるというものです。むやみに着させ続けると皮膚トラブルを起こす可能性があるので、帰ってきたら早めに脱がせましょう。

 

カートで散歩するときは…

何らかの理由で、自力で散歩できない場合はカートを活用しましょう。お互いが気分転換になりよいと思います。
ただカートで散歩をするとなると、犬の体温を上げることが難しくなります。ワンちゃん自身が、体を動かすわけではないためです。必要に応じて、ブランケットや防寒着を着せて上げてください。完全に視界をシャットアウトするのではなく、寒さから体を守る目的で着用させることが大切です。外の景色を眺めたり、ニオイを感じたりといったことはできる状態にしてあげてくださいね。
 

家に帰ってからのケア

家に帰って足を拭くときは、体温と同じ38度前後のお湯を張った洗面器で足湯をしてあげましょう。かかとまで浸からせ、5分程度様子を見るとよいです。水気を拭いたらよく乾かし、保湿クリームで肉球をケアしてあげてくださいね。
もし足湯を嫌がる場合は、蒸しタオルで足元を包んであげるのがおすすめです。タオルの上から軽くマッサージすれば、血行の改善も期待できるでしょう。
老犬は全身の血行が悪い傾向にあるので、背中や肩、腰なども温めてあげるとよいかもしれませんね。
 

散歩後の昼寝について

老犬や病気のワンちゃんは、短時間の散歩でもどっと疲れてしまいます。帰宅後にウトウトしていたら、体を暖かくして寝かせてあげましょう。
 

まとめ

散歩は季節に関係なく行かせて構いませんが、急激な温度変化を感じさせない工夫が必要です。特に老犬や病気のワンちゃんは、体温調節機能が下がっている傾向にあるため注意してください。
突然外へ連れて行くのではなく、室内でも場所を変えながら寒さに慣らすことがポイントです。準備運動も忘れず行ないましょう。
散歩は日の当たるコースを選び、気温が比較的高い時間帯に行くのが理想です。必要に応じて防寒対策をとりましょう。
家に帰ってからも、足湯や蒸しタオルなど体を温めることを忘れてはなりません。疲れて眠そうにしているときは、静かに寝かせてあげましょう。
そしてワンちゃんの体調が悪い日については、無理に散歩へ連れて行く必要はありません。雨の日や寒さが厳しい日も同様で、室内で自由に遊ばせてあげましょう。