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箱があったら入りたくなるのが猫の気持ち

2020年04月30日


 

ネコは狭い場所や箱の中が好き?

ネコと一緒に生活している方は「狭い場所や箱の中を好む」ということをよくわかっていると思います。中身を取り出した箱にすっぽりと入っていたり、洗面台の中で眠っていたりする様子を目撃した経験があるのではないでしょうか?
そこで今回は、狭い場所を好むネコの心理についてお話しします。
 
 

ネコの習性

ネコの心理について知る前に、まずは習性を理解しましょう。
猫の起源はなんと、約6,500万年~4,800万年前。ヨーロッパ大陸の森の中にいた「ミアキス」という、イタチのような見た目をした生き物が始まりでした。森に生息するミアキスは、やがてリビアヤマネコとなりネコへ。そして草原へ生息するようになったミアキスは、タイリクオオカミとなったのちイヌになったそうです。
これが本当だとしたら、ネコとイヌの起源が同じであるのはビックリですよね。
森に残ったネコたちは、単独で岩の陰や木の上で生き物を捕食しながら生活していました。群れを嫌い、鳥や小動物をよく食べていたのだとか。木登りが得意で平地を長時間走ることが苦手なのは、そのためだといわれています。陰に身を潜め、ロックオンした獲物が近付くのを待っている姿も、この頃に確立されたと考えられています。ほかの生き物に比べて体が小さいネコにとって、その行動は自身の身を守ることにもつながったようです。
 
 

箱の中を好んで入りたがるのはなぜ?

【箱の中は安心?】

過去にオランダのある大学で、保護施設へ新たに保護されたネコのストレス度をリサーチしました。すると、次のような結果が得られたようです。
●ケージ内で身を隠せる箱が準備されたネコたち
⇒約3日でストレス度が低下
●ケージ内に箱が準備されていなかったネコたち
⇒ストレスが低下するまでに2週間程度かかった
つまり箱があることによって、ネコたちは安心して暮らせます。また新たな環境にも、比較的早く順応できることがわかりました。
箱のような、狭くて外界をシャットアウトできる空間に入ると、ストレス低下につながり落ち着いて過ごせるのでしょう。現代のネコたちにも、そのような場所は必要であるといえます。
 

【箱の中なら暖かい】

ヒトにとっての適切な室温は26~27度ですが、ネコの場合は27~28度と少々高めです。一方でイヌの適温は、なんと20度。皆さんの家の中の温度は、普段どのようになっているでしょうか?
例えばヒトやネコにとってはピッタリの室温が、イヌにとっては暑いと感じられているかもしれませんね。その逆も然りです。
ネコが箱の中に好んで入るのは、暖をとるためだと考えられています。狭いと体を丸めざるを得ないので、より体を温められるのだとか。考えてみれば、確かにその通りかもしれませんね。
 

【物陰から獲物を待ち伏せ】

子猫のうちから一緒に過ごしている飼い主さんは、幼いネコがいかによく遊ぶのかを理解しているでしょう。ネコが動き回っているのは、いわば「狩猟のシミュレーション」。家具のうしろや箱の中に身を潜め、たまたま通りかかった飼い主の足などに飛びかかる遊びを好むネコが多いようです。ほどよい室温のときも頻繁に箱の中へ入るネコは、遊びとしての感覚が強いのかもしれませんね。
 

【狭いところを好むのはネコだけ?】

先日、タイの繁華街に出現したコブラを捕まえるときに「コブラは狭い場所を好むという習性を利用する」という前提で、フタを開けたペットボトルを目の前に置く映像を見ました。なんとコブラは、そのペットボトルの中へするすると入り込んでいったのです。
ヒトも同じで、幼児は空の段ボールや洗濯カゴといった狭い場所を好むようです。かくれんぼが好きなことを考えると、確かにそうなのかもしれませんね。
狭い場所へ入りたがるのは、ネコだけではないことがわかります。では、一体どうしてなのでしょうか?
その一説に「適度に圧迫される感じが、心地よくて落ち着く」という見方があります。四方が囲まれて体が密着している状態は、胎内の少し狭いという環境に類似しているためです。コブラの場合は、卵の中にいたときの環境と似ているのかもしれませんね。生き物の生態は、とても奥が深そうです。
 
 

日常生活での注意点

ネコと一緒にお風呂へ入ったことがある方は、濡れた体の小ささに驚いた経験があるのではないでしょうか?毛が濡れてぺちゃんこになったネコの体は、とても小さく見えます。狭い場所にも容易に入り込めるのは、そのためといえるでしょう。
また姿が見えないときに、名前を一生懸命呼んでもネコはなかなか近寄ってきませんよね。これはネコが、想像以上に狭い場所に入り込んで出られなくなっていたり、閉じ込められたりしている可能性があります。
ふすまや戸棚の引き出し、オーディオラックの中などは特に注意が必要です。いざ出ようとしたら、壁が邪魔で脱出できなくなることも間々あるようです。
もし室内でネコの姿が見えなくなったときは、意外な場所に隠れていないかどうかチェックしてください。
普段から洗濯機や鍋の中へ入ることを許している場合は、大事故につながる可能性もあります。危険な場所には入らないよう、日頃から教えてあげることが大切です。なかなか伝わらないときは、フタを閉めたり鍋を収納したりして、侵入されない工夫を凝らしてください。
 
 

まとめ

ネコは、自分の体がピッタリ収まるような場所を好みます。箱の中へ身を隠すことで、ストレスの低下につながるでしょう。
また寒いときに、暖をとれるというメリットもあるようです。適温であっても入り込んでいる場合は、狩猟ごっこをして遊びたいだけかもしれませんね。
もしネコの姿が見えなくなったときは、パッと見では入り込めないような狭い場所を探してみてください。家具の後ろや引き出しの中など、意外な場所で出られず困っているかもしれません。洗濯機や鍋の中にいると大事故を起こすリスクがあるため、日頃からしっかりと管理してあげましょう。