ねこの手術実例01
cat_case01猫、5ヶ月齢、2.3kg
マンションの3階から落下し、左の後ろ足を骨折した。近所の動物病院を受診したものの骨折の程度がひどく手術が難しいと言われた。
左後肢の完全挙上と強い痛み
【レントゲン検査】
左大腿骨の完全骨折、粉砕、非開放
【治療計画】
以下の2点が大きな問題となる。
・大腿骨の遠位骨片が膝方向まで大きく裂けて粉砕している点
・まだ成長中であり手術によって成長板を損傷させると骨が成長できなくなってしまう点
これらをクリアできる手術計画を立てつつ、クリアできない場合の整復計画も立て、2種類のロッキングプレートを準備して手術を行った。
予想以上に遠位骨片の割れがひどかったが、以下の手技を組み合わせて整復した。
1. ラグスクリュー法
2. 髄内ピン法
3. FixinMicroロッキングプレートを用いたプレート法
粉砕骨片ををラグスクリュー法まとめ、成長板を損傷させることなく整復を行うことに成功した。
手術後1.5ヶ月のレントゲン検査で骨折治癒(完全骨癒合)を確認した。
猫の大腿骨骨折は落下事故などで発生することが多い骨折です。事故での骨折は強い衝撃が骨に加わるため、今回のように骨が砕けてしまうことが多く発生します。その場合は手術の難易度がかなり上がるため、手術前の計画でどんな状況にも対応できるような複数の想定が必要になります。
反面、猫の大腿骨骨折は適切な固定をすれば周囲が厚い筋肉で覆われているため比較的良好なペースでの治癒が期待されます。
適切な手術と、適切な手術後の安静で完治を目指すことが可能です。
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