犬の脛骨粉砕骨折をOrthogonal Platingにて治療した一例

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犬の脛骨粉砕骨折をOrthogonal Platingにて治療した一例

粉砕骨折という言葉を聞いたことはありますか?

例えば足の骨が骨折すると、1つの骨が2つに割れてしまいます。
もし3つ以上に割れてしまった場合、これを「粉砕骨折」と言います。
粉砕骨折は手術が難しくなり、治りが悪くなりやすい骨折です。特に骨が4つ以上に割れた粉砕骨折は手術がとてもシビアになります。
(ちなみに粉砕骨折を「複雑骨折」と呼ばれていたりしますがこれは全くの誤りで、複雑骨折は骨折した骨がが皮膚外に出てしまう「解放骨折」を示す言葉として以前用いられていました)

犬で粉砕骨折を起こしやすい骨として脛骨(けいこつ)、つまり脛(すね)の骨が挙げられます。

下に示すのは、15歳の5kgの犬の脛骨粉砕骨折のレントゲン写真です。
ソファーから転落して着地と同時に足を滑らしたとのことでした。

一見すると中央で粉砕しているだけのように見えますが、3枚目の写真で分かりますが中央でいくつかの骨に粉砕し、さらに足首の近くまで骨が割れているのが分かります。手術中に確認すると脛骨が6つに割れていました。

粉砕骨折の上に、さらに足首近くまで骨折しているため、非常に難しい骨折治療になります。
粉砕骨折では手術で骨を元通りの形にしても力がかかれば骨は崩れてしまうため、プレートなどで強力に固定するして術後折れた足にかかる全ての力をプレートなどに支えさせる必要があります。
この場合はさらに足首の近くまで骨が割れているため十分な固定力を発揮するほどの固定具を打ち込むスペースがありません。

そこでOrthogonal Plating(オルソゴナルプレーティング)で治療することとしました。
Orthogonalとは「直交する」という意味なので、2枚のプレートをスクリューをクロスさせて固定させる方法です。
サイズの異なる2枚のロッキングプレートを用いて固定しました。

手術翌日から歩行が可能となりました。
非常に高齢ですので骨がくっついてくれるまで長期間かかることが予想されます。(5〜6ヶ月以上)

骨折治療は手術後の経過もとても重要です。
飼い主の方と協力し、骨癒合を達成できるまで一緒に頑張ります。

骨折治療の相談はいつでもお問い合わせください。

愛知県の名古屋みらい動物病院

 

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